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20代会社員、男。音楽、カメラ、時事ネタなどの雑記日記です

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Addictone custom guitarの事務所に行ってきたので訪問レポートしてみる

衝動的に東京にいって、Addictone custom guitarさんの事務所にお邪魔してきた。

Addictoneと言えば、最近いろんなアーティストがオーダーモデルを作成している話題のギターブランドである。
アメリカで材料を厳選、加工して、日本で組み込みをして、かつオーダーでも比較的低価格かつ高品質であるという。
楽器屋さん経由での流通は基本的にやっていないし、実物をさわれる機会は実質的に東京の事務所のみ。地方在住者はなかなか弾くことができない。

 

以前からどうしても弾いてみたいギターだったし、新幹線に飛び乗ったあとで急遽アポイントメントのDMを送った。
初めてのやりとりで本当に突然の連絡だったにも関わらず、快諾して時間をつくっていただいた、アディクトーンの渡辺さんには本当に感謝しかない。

 

いや、感謝と申し訳なさしかない。

 

Addictoneとはどんなギターだろう?

Addictoneは2013年にギタリストの渡辺 祐さんによって設立されたギターブランドである。

 
アメリカで選定・加工した材料を輸入し、日本で塗装と組み込みを行っているという、一風変わった工程で製作されている。

製作されたギターは基本的にエンドユーザーへの直販される。代理店や販売店を介さないぶん、販売価格も抑えられている。
オーダーメイドで31万円からとのことなので、クオリティを考えるととにかく安い。
(ギターを弾く人の”安い”の感覚はバグっているのであんまり信頼してはいけない)

そういう理由もあって、冒頭に書いたように、Addictoneのギターは東京渋谷の事務所でしか弾くことができない。
その代わり、代表の渡辺さんがしっかりと相談に乗ってくれて、プレイスタイルや好みに合わせたギターを提案してくれるということでもある。

 

アーティストが育てるギター

Addictoneが面白いのは試奏用に在庫されているギターが常時「デモ機」として、様々なアーティストに貸し出されている点だ。

事務所には試奏用のギターが置いてあるんだけど、その試奏用のギターがレコーディングやライブで頻繁に持ち出されてしまうのである。

 

アーティストに合わせて渡辺さんがおすすめすることもあれば、事務所にきたアーティストが気に入って持っていくこともある。
そして、現場で使った感想がフィードバックされて、ギターに反映されてより良くなっていくというわけだ。

このデモ機は同時に販売もされているので、気に入った個体があればデモ機価格として割安で買うこともできる。
ツイッターでは不定期にセール価格がアナウンスされて、それを虎視眈々と狙っている人が結構いるらしい。

 

と、まあここまではネットで見ているだけで何となくわかる話。
気になってくるのは「実際のギターがどのくらい良いのか?」
こればっかりは実際に弾いてみないとわからない。
だからこそ、僕もどうしても行きたかったのだ。

 

予約方法と事務所の場所

今回、ツイッターのDMで当日にいきなり問い合わせるという、大変失礼な方法で予約した僕が言うのもなんだけど、訪問する際には早めに予約のメールを送りましょう

直前の予約メールが失礼なのはもちろんなんだけど、試奏用のギターはデモ機として貸し出されていることも多いことも理由だ。

気になったシェイプ、仕様の試奏機が全て出払っていることもしばしばだという。予約の際はその辺りの事情も事前に確認、あるいは相談したほうがいいだろう。

 

場所はホームページを参考にしてほしい。

Addictone custom guitars | About Us

アディクトーンの事務所は渋谷駅から徒歩10分弱くらい、渋谷にもこんなところがあったのか、と思ってしまうような、住宅街の中にある。

住所をGoogleマップで検索したらわかるんだけど、事務所はごく普通のマンションの1Fである。繰り返しになるんだけど、店舗ではなく”事務所”なので訪問には予約が必須。

 

どんな場所だったか・訪問レポ

マンションのエントランスはオートロックなので、インターホンで部屋番号をコールして開けてもらう。
事務所はエントランスの自動ドアのすぐ隣の部屋である。ギター教室も併設のため、かすかにギターの音漏れがきこえてくる。
ドアの前で待っていると、マンションの住人の方ににこにこと挨拶をされたりもする。なんか、ギターを弾きにきたというよりも、友達のマンションに遊びに来たという感じの気分だなあ。

 

少し待ってから、前に訪問されてた方(後ほどうかがったけど、プロギタリストさんだった)と入れ替わりで事務所に上がらせてもらう。
出迎えていただいた渡辺さんは爽やかで朗らかな人だった。

ギタリストさんということもあって、見た目から年齢が全くわからない。
20代後半から30代前半のようにも感じられるけど、経歴や物腰の柔らかさから受ける印象は、明らかにもっとベテランの雰囲気である。
いずれにせよ、色々なアーティストさんに信頼されているのも納得してしまうオーラがある。ご挨拶させていただいた瞬間からそれがわかる。

 

部屋の中は普通の1K・・・といっても、ちゃんと防音室になっている。
壁に沿って、小型のアンプがいくつも並んでいる。
Bugera、VOX、メサブギー、Fenderなど(ベースアンプもあった。と思う)。プレイスタイルに応じていろんなギターが選べるようになっている。

7本かけのギタースタンドがあって、僕が訪問したときはベースが2本ギターが5本ほど置いてあった。

ギタースタンドベースと、テレキャスと・・・

他にもギターケースがたくさんあったり、エリクサーの弦が箱で買いだめしてあったりして、少なくとも友達の部屋っぽい感じではない。でも、一般に言うところの「事務所」といった堅苦しい感じもない。どっちかというと、秘密基地のような雰囲気が近いかもしれない。友達の秘密基地?なんかよく分からないな・・・


ともかくまあ、「大阪から突然すいません」という挨拶もそこそこに、早速ギターを弾かせてもらうになった。

今回、僕が気になっていたのはいわゆる普通のストラトタイプのギター。
最近、僕が大好きなCIVILIANのコヤマさんがAddictoneのストラトを多用しているためである。
ただ、前述のデモ機システムの兼ね合い(とそれに関する僕の無知)もあって、そのときはシングルピックアップのストラトが置いてなかった。

なので、まずは2018年よりスタートするというmodern classic STのプロトタイプを弾かせてもらうことに。
プロトタイプ、っていい響きだ。こういう学食の裏メニューみたいなものが触れるだけでも、訪問してよかったと思う。

 

 

このギターの特徴はなんといってもネック材にある。
アクアティンバーと呼ばれる、湖の底に沈められていた樹齢云百年の木が使われている。水中乾燥なる方法らしく、水底に放置することで逆にしっかりと乾燥させることができるらしい。

(参考:https://www.digimart.net/magazine/article/2016092902214.html

詳しい理屈は分からないが、男の子はこういう「長年封印されていた〇〇」という設定にすこぶる弱い。
我々ギタリストなんてもうこの設定を知った時点で「絶対音良いじゃん!」って思ってしまう。アホである。

そしてこのギターでは、さらにひと手間加えてアクアティンバーをロースト加工してしまったのだという。

 

ロースト加工はその名の通り高温処理して、木材の乾燥を進める処理。
お察しのとおり僕は木材のマニアックな知識に関しては
ズブの素人だけど、たぶん燻製的な工程をやっているんだと思う。
写真を見ればわかる通り、高温処理されることで茶色っぽい色になる。
夏休みが終わり、二学期に登校してきたクラスメイトの女の子がほんのりと日焼けしているのを見たような、そんな健全なドキドキ感がある。

アクアティンバーもロースト加工もよく聞く処理ではあるんだけど、アクアティンバーをロースト加工したネックというのは初めて聞いた。
なんでも、国内代理店のSugiから仕入れたネックを、アメリカに送ってロースト処理・ネック加工して再輸入しているらしい。
そんなネックを受けるボディはディンキータイプのちょっと小ぶりなストラトシェイプ。僕のような低身長の人類には大変うれしい仕様である。

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そんなこだわりのまかないレシピのようなギターをFenderのアンプにつないでクリーンで弾かせてもらう。

ピックを手に取る前に軽く指弾きでつま弾いてみると・・・もうこの時点でホンッッットウに気持ちいい

まずセットアップが素晴らしい。ネックの処理もいい。ネックが左手に吸い付くように張り付く。あー、気持ちいい。体の一部にしたい。

僕が持っているギターとはネックシェイプが全然違うはずなのに、常日頃触っているかのような馴染み方をする。
もちろん指にフレットが引っかかるとか、そんなことは全くない。言うまでもない。

コードを抑えて軽く指ではじくだけで、音がスムーズに立ち上がってくる。
僕もこのギターの音みたいに、毎朝キビキビと起き上がれたらいいなあ。なんてことを考えてしまうくらい。
強弱をつけたときのレスポンスも申し分ない。

ハイエンドギターの中にはもっと神経質なレスポンスで、弾き手の実力の程度をモロバレにする鬼畜仕様のものがあるけど、そこまでナイーブな感じはしない。

どちらかと言えば、

「しかたねえなあ、ええ音出してやるからもっと頑張るんやで」

と言ってくれるような、そんな心地の良い弾き心地である。膝枕で耳かきされている気分になる。女の子に膝枕で耳かきされたい。

 

そんな優しいギターなので、音も良い。
言うまでもない。当たり前だ。当然だろう。
そして一応「国産」なのに、国産ハイエンドっぽさがない。

国産ギターって、「国産感」としか言えない独特の癖があるときがある。
作りも良くて音も良いんだけど、どこか真面目すぎるというか・・・委員長タイプすぎるというか・・・

で、Addictoneに関していうと、もちろん国産の丁寧な仕事の感じはあるんだけれど、あんまり委員長タイプっぽさが無い。
委員長なんだけど、今期のアニメは一通りチェックしてそうな感じで・・・いや、この比喩わかりにくいな、やめよう。

とにかく、すっきり整理されているけれど、どこかに荒々しさも残しているようなバランス感覚がある。レスポンスの良さも相まって、ついニヤニヤしてしまう。

前述のとおり、本来はスリーシングルピックアップのストラトタイプが弾きたかったものの、そういう個人的な願望をすっ飛ばしてしまうくらいいいギターである。

リアのハムバッカーはトーンつまみでコイルタップとの切り替え具合をブレンドできる仕組みになっていて、コイルタップの音もいやらしさがない。

 

そんなことを考えつつはしゃぎながら弾いていると、渡辺さんが僕のプレイスタイルについて一言コメントを加えてくれる。
曰く、僕が所有しているギターブランドと僕が弾く手癖のフレーズのギャップがあるとのこと。

これは僕自身もなんとなく感じているところだった。
というのも、僕が最後にギターを買ったのは3年以上前。
今では音楽の好みがずいぶん変わってしまっていて、僕とメインギターの間ではちょっとした倦怠期のようなものがきてしまっている。
今のメインギターは本当に素晴らしいギターなので、全然問題ないものの、それでもつい悩んでしまう。

そんな僕とギターとの関係を、渡辺さんに一聴で見抜かれてしまったわけである。
まあ、それもそのはずで、そもそも、渡辺さんはバリバリのギタリスト。
現場の経験はもちろんレッスンの経験も豊富だし、addictoneを設立してからはさらにいろんなミュージシャンの相談に乗りながらギターを制作している。

 

ギタリストの現場や、各ギタリストの癖を見抜くプロの視点で、ギターについて相談することができる。
そこがAddictoneの最大の魅力であるように僕は感じた。

 

ちなみに、(言うまでもないが)僕は全くのド素人ギタリストである。

「よく考えたら、ギターの”プロ”の目の前で、弾いていた」っていうことに気づいて恥ずかしくなったのは、事務所を出た後だった。

渡辺さんの人柄と事務所の雰囲気のおかげかもしれない。
事務所ではあるけれど、友達の家でギターを弾く心地よさがあった。

 

そのあとも、色々なギターを弾かせてもらう。

 

 

よりモダンで歪ませて弾くのが楽しい仕様のギターを弾かせてもらったり、

 

 

年内でオーダー終了という日本製仕様のギターを触ったり。

 

同じAddictoneでも、仕様とグレードによって全然フィーリングが違うのが面白い。

デモ機を作る過程の中でも、渡辺さんがアーティストからフィードバックした仕様が少しずつ反映されている。
それだけに、どんどん良くなっていくみたいだ。

 

なんでAddictoneがミュージシャンに選ばれるのか?

それにしても、Addictoneの名前はここ数年で本当にろんなところで見かけるようになった。

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いろんなアーティストがオーダーをされているばかりか、その人たちが頻繁に事務所に訪れて、とっかえひっかえにデモ機を使っている。
僕の好きなCIVILIANのコヤマさんなんか、ジャズマスターをオーダーされているばかりか、いつの間にかストラトが一本増えている

(このあたりの経緯も教えてもらったけれど、書いていいのかわからないので割愛する)。

 

僕個人としても、実はAddictoneの存在自体は設立当初から知っていた。
で、最初の頃は「やたらとオーダーが安い謎のギター」くらいにしか思っていなかった(めちゃくちゃ失礼)。

 

そのあたりを渡辺さんにぶっちゃけて(大変失礼)、どうしてここまで使われるようになったのかを聞いてみる。
曰く、「渋谷という立地が良かったのではないか」ということ。いやいや、何をおっしゃるのか・・・

でもよくよくお話を伺うと、どうも渋谷というのはそもそもアーティストが集まりやすい場所らしい。

駅からAddictoneの事務所がある桜ヶ丘までの間にはたくさん楽器屋さんがある。リハーサルスタジオもたくさんあるのだという。渋谷と言えば、O-EASTをはじめとしてライブハウスも有名だ。

そういう「アーティストの集まる場所」に、ギターの制作はもちろん、セットアップ、さらにはデモ機まで貸出できる事務所があるというわけである。値段設定も、アーティストに届きやすい金額だ。

渡辺さんは、
「はじめは事務所の賃料のほうが高くてどうしようかと思った(笑)」
と自虐的に語ってらっしゃったけれど、丁寧な仕事があるからこそ口コミが口コミを呼び、今では連日アーティスト同士が連れ立ってくるような場所になったんだろう。

・・・とまあ、以上が、渡辺さんが語る、謙遜のような「外部的要因」である。

だけど、僕が思うに、やっぱり根底にあるのはプロダクトの良さではないか。「良いもの」を作るという大前提があって、そこに立地条件がついてきたのではないか。
事務所に伺い、渡辺さんとお話させていただいた僕には、そうとしか思えない。
実際、僕がこんな話を渡辺さんとしている間、僕の膝の上にはずっと冒頭の銀色のストラトがあった次第である。ずっと弾いていたくなるギターは、良いギターの必須条件だ。

 

これで全国どこでも販売していたらどれだけいいのだろう、と思ったけれど、現状の体制ではやはりそれも難しいらしい。
販売店を介さず「アーティストに届きやすい金額」で提供することをポリシーとされている上に、作ったギターを吊るしで販売するだけでは魅力が伝わりにくいためであるという。

もしも、地方で(例えば関西で)販売する機会があるならば、それこそスタジオを借りてギターを並べて、試奏会のようにやるのではないか、ということだった。
それも、どうしても現地スタッフが必要になってくる。デモ機の貸出状況によっては難しい。それだけに、なかなか実現できないのだという。

 

そんな話をしながら結局、一時間くらいたっぷりとギターを弾かせていただいた。銀色のストラトとも泣く泣くお別れである。あれ、よかったなあ。うーん。



以上、ネット上になかなか訪問レポートがないので、思い切ってAddictoneの事務所訪問記を書いてみた。

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文中で何度も主張しているように、Addictoneは渡辺さんがいろんなアーティストさんと二人三脚で育ててこられたブランドである。
その試行錯誤の軌跡がそのまま一本一本のギターに反映されている。弾いていてその愛情が伝わってきて、ずっと弾いていたくなる。
文章でギターについて伝えることはできないけれど、そんな魅力を感じていただけたら嬉しいなあ。
興味を持っていただいた方は、ぜひ、Addictoneさんに連絡をしてみましょう。

(ただし、僕のように当日いきなりアポとかは迷惑だからマネしちゃいけません)

 

今回は何かを購入したわけではないのだけれど、次にギターを買うならば迷わずAddictoneに相談すると思う。ちゃんと自分のギターを持って行って、自分の理想のギターを探してみたい。