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化物作家の正体に触れる。西尾維新大辞展はまさに「大辞典」だった【ネタバレあり】

8月21日まで心斎橋の大丸で開催されている西尾維新大辞展に行ってきた。
読んで字のごとく、作家・西尾維新の歩みとその作品の世界観を堪能するための展覧会である。
100冊以上の作品とそのメディアミックス作品の解説はもちろん、西尾維新自身のパーソナルな部分も同時に展開されていて、さらにキャラクターのナレーションまでついてくる。まさに西尾維新に関する”大辞典”を読んでいるような展示だった。

 

西尾維新大辞展とは

上述の通り、西尾維新に関するなんでもありの展示会である。

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7月27日の東京松屋銀座での展示から始まり、8月9日からは大阪の大丸心斎橋店で展示されている。期間は8月21日まで。

詳細は公式ホームページが詳しい。

有名人からのコメントや、書きおろしの作品解説・用語解説、名シーン集から原画、もちろんオリジナルグッズもある。

こういう展示会って東京会場で話題になったときに気になってあれこれと情報を集めてしまうのだけれど、いざ大阪での展示が始まるころにはすっかり忘れてしまっていて、展示終了ぎりぎりになって慌てて駆け込んだり、駆け込めなかったりする。

今回は盆休みというタイミングや、終物語の放送もあったので本当に偶然なんとか思い出せた。
<物語>シリーズをかじっている程度のにわかファンなので、日替わり絵柄のチケットが忍ちゃんだったのも運が良かった。

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ちなみに、もしもグッズを狙っている方がいるならば朝から並ぶ必要があるみたいだ。

今日も開場30分前時点で400人待ちとかだったようで、グッズは争奪戦になっているらしい。
僕が行ったのは14時頃だったが、会場は常に混雑していて、入場はだいたい15分待ち、中の展示を見るのに一時間半ばかりかかった。

 

書き下ろしナレーションガイドは絶対おすすめ!

今回、絶対おすすめしたいのが「音声ガイドメニュー」

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西尾維新の各シリーズから、主要登場人物がペアであれこれと展示を解説・・・もとい展示をネタにひたすら雑談を繰り広げてくれる。
もちろん西尾維新の書き下ろし脚本で、原作の声優が読み上げてくれるやつだ。これが700円なら実質チケットとセットのようなものなので、音声ガイド抜きなら逆にもったいないというものである。

僕は阿良々木暦くんと忍野忍ちゃんのガイドを借りた。ガイドが流れるのは全部で15か所。
ただし、この二人のガイドなので全くガイドにならない。展示に無い裏話みたいなものはほとんど無い。
ガイドというかむしろ迷い込ませるような雑談ばかりで、”辞典に迷い込む”というこの展示のコンセプトにベストマッチしてるような気がしないでもなかった。

知らない作品にも興味を持てる体験型展示

この手の展示会ってだいたいの場合、「公式ガイドブック」的な内容がそのまま壁に貼ってあることがほとんどだ。あれこれと作品紹介・キャラ紹介があって、誰が選んだかわからん名場面だとか名セリフだとかが引用されてて、

「いや、それ原作で読んだから別にいいよ」
ってなるパターンのやつ。

今回の西尾維新大辞展もおおよそ3割くらいはそんな感じの内容で残りの5割が西尾維新の書き下ろしコメント、西尾維新の生態、そして残った部分で体験展示がされているといった感じである。

作品紹介やキャラ紹介、および西尾維新書き下ろし部分は撮影禁止だったが、読んだことない作品でもついつい興味を持ってしまうように工夫されていた。
僕なんか、<物語>シリーズをアニメで見た程度のにわかファンなので、戯言シリーズや忘却探偵シリーズなど、名前は知っていたけどなんとなく手を出していなかったものにも改めて触れることができるいい機会だった。
ビジュアルと文字でバランスよく訴求されるので、いい感じに興味が沸いてくる。

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どんと壁の向こうまで広がるキャラクター一覧(何人いるんだろう?)

 

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で、体験型展示がこんな感じ。これは戯言シリーズのプロジェクションマッピング。
作中のキャラクターにスポットがあたり、タイポグラフィで名セリフが流れてくる。西尾維新ほどタイポグラフィが似合う小説家もなかなかいないよなあ。
目で見て、声に出して楽しめる軽妙な文体だからこそ、様々なメディアミックスに耐えうる作品の奥行があるわけで、このプロジェクトマッピングもまさにそんな感じのものだった。

<物語>シリーズの展示はやはり贅沢だった

圧巻だったのは、なんといっても<物語>シリーズのバトルシーン再現!

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壁一面に引用された火憐ちゃんVS阿良々木暦くんのワンシーン。
それに合わせてアニメのバトルシーンの音声が流れている。
火憐ちゃんのセリフに合わせて・・・

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文章が真っ二つにされて、文字がバラバラに砕け散る。

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そこからさらに、バラバラになった文字がアスキーアートになってバトルシーンが展開される。

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アニメ版でボッコボコにされる阿良々木暦くんが、まさか文字で描かれるとは・・・いや、もともと文字だったんだけど。
しかし阿良々木くん、ほんとにボッコボコにされるな。大変だな。

物語シリーズはやはり西尾維新の作品群の中でも重要な位置を占めているらしくって、そのぶん展示スペースも大きかった。

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壁に映し出された作中の名セリフに触れると、アニメの名シーンが再生されるコーナーなんかもあった(上手に写真に写せなかった)

で、<物語>シリーズコーナーの一角に、ポツンとたたずむ…いや立たずに座り込んでいたのがこの子。

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忍野忍ちゃん!
ジト目のアンニュイな表情、つやつやとした肌感、展示の中で唯一の立体物だけあり目立っているにも関わらず、なぜかつい遠巻きに見てしまうその存在感。吸血鬼もどきっぽいミステリアスな雰囲気が、立体になっても全く変わらず、それでいて対面するとつい笑みがこぼれてしまうような愛らしさもある。

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じとーっとしている。

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何かを待っているかのような寂しげさも感じられる三角座りだった。

 

一日2万字!?西尾維新の作業環境

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展示も終盤、<物語>シリーズのイラストを眺めつつ、

「ああやっぱり八九寺は可愛いなあ、上から下まで何もかも八九寺だなあ、どうせなら八九寺のフィギュアも置いてほしかったなあ。せっかく終物語であれだけフューチャーされてたのだから、そのくらいあってもバチは当たるまい」

などと考えていたら、何やら後ろからガタガタとあやしいタイピング音がしていて、人々が熱心にスマホのカメラを構えていた。

その正体がコレ。

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西尾維新の作業環境再現コーナーである。
"驚異の速筆と言われる西尾維新の執筆スピードを体感"できるコーナーだ。
なんとこのキーボード、幽霊でも居るかのように勝手に文字をタイピングしている。

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画面に映っているのは公開前の作品の原稿らしい。backspaceや改行などの動きも再現されている。
展示の冒頭にあった西尾維新の一日の生活によると、西尾維新は執筆日には基本的に一日2万字を書くらしい。2時間5000字くらいのセクションを一日に4セットくらいやって書いてるのだとか。
で、その2時間5000字のタイピング速度がこの作業環境再現のコーナーで体感できるというわけだ。

で、実際どうだったの?っていう話なんだけど、個人的にはタイピング速度自体はあまり早いとは思わなかった。平均的なネットのオタクくらいの速さだと思う。
問題は、「筆が止まらないこと」。誤字や書き直しで戻ることこそあれど、基本的にほとんどタイピングが止まらない。
すらすらと、原稿を書き写しているかのように文字が画面に打ち込まれていく。
ストーリーを考える→文章を練る→文字を打ち込む、この一連のプロセスが、おそらくプロセスとして段階を踏んでいないくらい凝縮されているのだろう。
ぶわーーーっとあっという間に文字で埋まっていくわけではないが、いざこうして自分が感想を書いたりなどしていると、その恐ろしさがよくわかる。
こと、創作に関してここまでよどみなく書ける人ってなかなかいないんじゃないだろうか。

ちなみに、キーボードはサンワサプライのものっぽい。

 

650円ってめちゃくちゃ安いな。

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そして椅子はコレ。音声ガイドでも「作家は椅子とかこだわるんじゃないのか」とツッコまれていた。
(それとマウスが無いけど、どうしてるんだろう)

 

少しでも作品を知っているなら絶対おすすめ!

出口に向けては、西尾維新の作品がずらりと並んでいる。

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クビキリサイクルから始まり、最新刊の忍物語で終わる。
最後はこんな言葉で〆られていた。

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・・・西尾維新こそ、まさに”化け物”だよなあ。

このあと、物販コーナーに移る前に暗室が設けられていて、そこに西尾維新からの来場者・読者向けのメッセージがある。
これもまたまさに化け物じみた言葉遊びのメッセージだったので、気になった人はぜひとも現地に行ってみてほしい。

 

以上、展示内容が内容だっただけに、ついつい文字でゴリゴリとレビューしたくなるような楽しい展示だった。
途中にも何度も書いた通り、僕は西尾維新については数作読んだ程度のにわかファンなのだけれど、それでも十分楽しい。
何しろ、総まとめであると同時に、これが入口にもなる展示なのだ。
ずらりと並んだ作品の中には手を取ったことが無い作品も多く、この機会に手を出してみたくなる作品も多かった。
多作の作家ってつい作品シリーズ単体で触れるのみにとどまってしまうので、こうしてズラリと網羅した”大辞典”は本当にありがたかった。

繰り返しだけれど、大阪での展示は8月21日まで。
足を運んで後悔しない展示なので、くれぐれも公開期間中に御覧になることをオススメしたい。