読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

そりゃまあ僕も

20代会社員、男。音楽、カメラ、時事ネタなどの雑記日記です

とてもつらい

音楽や小説が好きな人が書いてます。主なカテゴリ↓

『一人交換日記』永田カビ 自分のものさしを育てる話

読書 読書-オススメ本紹介

『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』の永田カビさんの最新作、『一人交換日記』を読んだ。
話題になった前作の単行本の前後があり、永田さんの周囲の変化や、環境の変化について思ったことを「一人交換日記」として描いた作品。
レズ風俗レポ同様、漠然としたさびしさや不安を抱えて生きる僕たちの、支えになるようなエッセイだった。

 

(関連記事:『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』を読んだ - そりゃまあ僕も)

一人交換日記/永田カビ

作品について・あらすじ

この作品は漫画雑誌ヒバナの企画して、pixivコミックのウェブサイトで連載された
こちらのサイトで無料公開されている。
一人交換日記 - 無料マンガサイト pixivコミック
単行本版は12/10に発売された。

 

一人交換日記 (ビッグコミックススペシャル)

一人交換日記 (ビッグコミックススペシャル)

 

 



『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』と比較すると、大きく加筆修正されているわけでは無いが、巻末に近況報告が追記されている。

あらすじとしては、もう本当に著者の近況を描いた交換日記。
一人暮らしを決意した永田カビさんの奔走と、「レズ風俗レポ」という漫画が家族にどう扱われたのか。
愛されることとはなんなのか考えてる最中、初めてのデートの経験。などなど。
一連の近況を乗り越えることで、永田さん自身がどのように感じてきたのか、今回も鋭いモノローグで描かれてる。

 

今に迷いながら向き合う作品

レズ風俗レポでは、レズ風俗を利用した経験を通じて、著者の永田さんの「過去」に向き合ったものだった。
今作はそのあとの「現在」を、交換日記という形式で、積み重ねるように連載されていたものだ。
前作よりも、身を切るように絞り出された作品であるように思った。
たぶん、連載時点での一番新しい著者の状況が描かれていて、文字通り先がわからない作品だからだろう。

「現在」や「今」を伝える方法として、僕達はtwitterを利用している。もっとも、伝える対象は他人だったり、自分自身だったり様々なわけで、そこにルールはない。
だから僕たちは、自分自身でも意味づけができない「今」を呟きながら、毎日生きている。
永田さんは、そういうルールの無い「今」を改めて意味づけするように、この作品を描いていたように見えた。
時間を置いて整理するのではなく、未来の自分に向けて、無理くりにでも意味をつけて「今」をバトンとして渡していく。
たぶんかなりエネルギーのいる作業なのだと思う。

それだけのエネルギーが込められてるだけに、マイノリティの話というよりは、もやもやを抱えたまま生きる人のモデルケースのように感じた。

 

感想、ものさしについて

僕が印象的だったのは10通目の「自分のものさし」の話。
他人にどう思われているのか気になったとき、つい自分と他人を比べてしまう。
自分を測るものさしが無いから、誰かのものさしにすがってしまうし、そのものさしの良し悪しすら自分では判断できなくなる。
私事ですが、僕自身がちょうどいまそんな感じで、あれこれと悩んでもがいているところだ。
最近はがむしゃらに勉強したり、「山田孝之の東京都北区赤羽」を視聴して共感性羞恥でゲロ吐きそうになったりしていた。
それだけに、この話を改めて読んで、人ごとでは無く感じた。
同時に、どこまでも「人ごと」にすぎないので、僕は僕のものさしをちゃんと見つけないといけない。


あとは、書籍版は装丁がとても素敵で、ウェブ版のシステムと比べるとずっと通読しやすかった。
手に取って読んでみて印象が変わる作品なので、連載を追いかけていた方も一読の価値はあるように思う。

よろしければ是非。

お題「読書感想文」