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そりゃまあ僕も

20代会社員、男。音楽、カメラ、時事ネタなどの雑記日記です

とてもつらい

音楽や小説が好きな人が書いてます。主なカテゴリ↓

20代男性、1匹の50mm級巨大不明生物駆除のため業者を呼ぶ

雑記 雑記-日記

ついに出た。ヤツが自宅に出た。

一人暮らしを始めて早数年、僕がこの家にヤツの侵入を許したことはなかった。
僕は元来いい加減な人間なので、生ごみの処理や掃除などに特別気を使っていたワケではない。
それでもヤツを見かけないということは、即ちこの部屋は安全である。
僕はそう妄信していた。昨日までは。

 

事の発端は昨日の14時頃のことである。気持ちよく晴れた日曜日の午後だった。
作業部屋でギターを練習しながら、「そろそろシン・ゴジラでも見に行ってブログのネタにでもするか」と考えていた矢先のことである。ふと窓のほうを見てみると、ガラスと網戸の間で茶褐色の生物が走り回っていた。

すりガラス越しなので姿ははっきりと見えなかった。正体不明である。僕が把握できたのは50mmほどの黒いシルエットのみだ。
何らかの未確認生物が網戸を突破し、締め切った窓ガラスに特攻を仕掛けている

 

アブラゼミか、いやアブラゼミの足は歩行に適していないはずだ。となると、この活動性と網戸を突破しうる攻撃力、やはりオオスズメバチか。戦争の予感を感じる。しかしスズメバチならば、もっと羽音が大きいはず。それに第一なんだあの触角は、まるで・・・

 

繰り返す。僕は何が出たのか目視していない。正体不明だ。巨大不明生物だ。いや、正体不明ではない。あれはヤツである。確信はできない。だいいち、この家はこれまでヤツの侵入を許してこなかったのだ。

100年、壁が壊されなかったといって、今日壊されない保証はどこにもないのに・・・
進撃の巨人の冒頭のセリフが脳裏に浮かぶ。(20巻買わなきゃ。進撃の巨人(20) (講談社コミックス))

馬鹿な。この部屋はX階だぞ。

関西弁版のPR動画が頭の中で流れ始める。


関西弁版TVアニメ「進撃の巨人」第1話:二千年後の君へ 告知PV

 (関西弁版はDVDの特典映像らしい。劇場版「進撃の巨人」後編~自由の翼~初回限定版

 

デッカいゴ***や・・・

 

50mm級のヤツと対峙しながら、僕は戦慄していた。
なぜなら、巨大不明生物と仮称したにも拘わらず、ゴジラの映画を見てないから流行りに乗ったコジツケネタ以上にならないからだ。いや違う。そのときはそんなこと考える余裕はなかった。
僕は、人類は、ヤツの壁内への侵入を想定していなかった。もちろん武器の備えはあった。手の届くところにアースジェットが転がっていた。しかし、問題は僕自身である。ヤツと戦うための勇気を蓄えていなかった。

しかし、僕にも人類としての誇りはある。先日『嫌われる勇気』を読み返して自己啓発したところだ。僕自身の勇気の問題なのだ。
アドラー、岸見氏のように言うならば

 

人はゴ**リと戦えます。のみならず、殺すこともできます。ひとりの例外もなく、いまこの瞬間から。問題はどこから入ってきたかではなく、あなたがどう殺すかなのです。ゴ*ブ*を直視することができるか。あなたにその”勇気”があるかです。

 

僕にその勇気はなかった。
窓枠を目がけてアースジェットを撒き散らすのが精いっぱいである。しかし窓ガラス越しにブッカケプレイしたところで効果があるわけなく、へっぴり腰で噴射しているうちにライフポイントとスプレー缶が空っぽになってしまった。

幸い、不明生物は窓と網戸に挟まれたそのスペースから、部屋に侵入することも外へ脱出することもできないようだった。
逆に言えばヤツを駆逐しないかぎり、僕はもうこの窓から外の空気を吸えない。


そのとき、僕は入居時に賃貸業者にゴリ押しされて登録したサポートサービスを思い出した。
窓ガラスの破損、設備機器の不良、電気の交換、急病時の送り迎えなど、割となんにでも使えるサービスらしい。使うこともなく更新料だけが毎年無駄に引き落とされている。アホらしい。よく見るとその中に害虫駆除も含まれていた。

だが背に腹は代えられない。これはサポートが必要な案件だ。僕は正体不明の巨大不明生物と戦う勇気はない。

スマホを持つ手がフリーダイヤルをプッシュする。
僕は自分に何度も言い聞かせる。仕方がないことだ。不明生物だから倒せない、劣等コンプレックスだろうがなんだろうが好きに呼ぶがいい。用法が間違っている気がするが知ったことではない。


オペレーターに用件を簡潔に伝える。

50㎜級の巨大不明生物によってウォール網戸が突破された。もうこの部屋を放棄するしかない。映画館に逃げたい。シン・ゴジラはIMAXと通常の劇場のどちらで見るべきだろうか。というかIMAXってなんだ。LIXILに統合されたのではないか。できるだけおたくが少ない映画館はどこか。

 

いま思えば僕も混乱していた。オペレーターはそんな僕に動じることもなく、すぐに下請けを手配すると応えてくれた。
ほどなくして業者から連絡がきた。最短で翌日の月曜日21時の訪問になるらしい。

害虫駆除・防除業者としては掻き入れ時であろうにも関わらず、不明生物の姿に怯えた20代男性のために翌日駆けつけてくれるなんて大変ありがたい。本当に嬉しい。

あまりに嬉しくて全然眠ることができなかった。だって窓を挟んでヤツと隣り合わせだもん。寝られるわけねえ。冗談じゃない。敵がラフメイカーではなく本当によかった。

 

そして本日21時、駆けつけたダルビッシュ似のお兄さんによって我が家を脅かす謎の巨大不明生物は無事に駆除された。
業者用の薬剤スプレーってステキ。しかもお兄さんは念のため、他の窓や水回りにも徹底的に薬剤を塗布してくれた。なんだこれ、神か。

「ありがとうございます。ゴキブリ?苦手ってわけじゃないんです、ただ見慣れていないだけなんです。何しろこれまで出てこなかったので。」

しどろもどろに言い訳する僕の言葉を、お兄さんはニコニコしながら聞き流してくれた。しかも去り際に害虫忌避剤施工の案内を渡してくれた。

案内パンフレットには魅力的な文字が踊っている。X万円、でも水回りから窓回りまで、徹底的にやってくれる上に保証付きらしい。アラいやだ、お得じゃないの。

 

今回はたまたま一匹で済んだ。しかし、もし次があったらどうしよう。室内で複数匹と鉢合わせる勇気をそのときの僕は持っているだろうか?

今はまだわからないにしても、今回の件のおかげで絶対の安全なんてどこにもないと身をもって思い知った。
いずれにせよ、備えがあれば憂いはない。この日記を書き終え次第、僕はAmazonで殺虫剤・防虫剤をしこたま買い込むつもりだ。
そのあと、シン・ゴジラの上映劇場を調べる。一番良い音と映像の映画館を予約する。

ネタバレは全然見ていないが、どうも巨大不明生物に人類が脅かされる話らしい。もっと早く見に行っていれば、僕は今回の件とゴジラの感想を濃密に絡めて日記が書けただろう。その後悔を戒めるため、僕はゴジラを見に行かなくてはならない。

 

 

防虫施工の件は前向きに検討している。