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そりゃまあ僕も

20代会社員、男。音楽、カメラ、時事ネタなどの雑記日記です

とてもつらい

音楽や小説が好きな人が書いてます。主なカテゴリ↓

『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』を読んだ

読書 読書-レビュー・感想

人を選ぶ漫画だが、「さびしすぎて」という言葉が少しでもひっかかった人には手放しでオススメできる。

レズ風俗のレポではなく、 人の暖かさを通じて自身の生きづらさを見つめなおすエッセイ漫画。
あまりにも赤裸々に綴られた半生と生きづらさはなんだか、地獄巡りのように感じられた。

web版と書籍版の違いをメインに、感想を書いていきたいと思う。

 

12/10追記

最新作『一人交換日記』の感想も書きました

『一人交換日記』/永田カビ 自分のものさしを育てる話 - そりゃまあ僕も

 大変な人気のようで、僕もamazonで発売後に注文しようと余裕をぶっこいていたら、品切れを食らった次第。

入荷待ち状態でお預けされ、1週間経ってようやく手に届いた。
その後も話題が話題を呼んで、何度も重版しているらしい。

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さて、この漫画はpixivにて発表されたものを、加筆再編集した作品である。

[R-18] 【漫画】「女が女とあれこれできるお店へ行った話 プロローグ」漫画/永田カビ [pixiv]

 著者の永田カビさん→永田カビ (@gogatsubyyyo) | Twitter

 

興味のある方は、書籍版を手に取るまえにぜひpixiv版を読んでもいいかもしれない。
書籍版は更に奥行きのある話になっているから、pixiv版で内容を知っていても楽しむことができると思う。

あらすじと感想

おおよそは漫画タイトルの通り。

生きづらさを抱えた28歳の女性が、レズ風俗を利用するその経緯と、その後の変化についてのモノローグだ。
作者を抑圧していたもの、苦しめていたもの、
それらと向き合い、恐る恐る近寄り、悩む作者の心境や立場が痛々しいまでに伝わってくる。
読んでいるこちら側も、自身の周りの「居心地の悪さ」のようなものを思い出してしまうような、そんな作品だ。

 

と、あらすじというか、ずいぶんと回りくどい紹介になってしまったけど、ここには僕の個人的な理由がある。

感想を語りたい一方で、僕はこの作品について一切のネタバレをしたくない。
この作品を手にとるべき人たちは、誰かの思考を通じた先入観を持つべきではないと思っている。
だから、ここからはweb版と書籍版の印象の違いについてだけ、簡単に感想を書いていきたいと思う。 

ウェブ版と書籍版の違い

はじめてpixivでこの漫画を読んだとき、

「地獄めぐり」という言葉が頭に浮かんだ。どうしてだろうか。

もちろん、レズ風俗というサービス自体を、「地獄」だとか「どん底」と考えているわけではない。
ここでいう「地獄めぐり」とは、自分の心や物事の深いところに降りていき、そこで非日常的な経験や感覚を体験して、再び自身の日常に戻っていくプロセスを指す。と考えた。

村上春樹の小説の枠組みだと思う。地獄ではなく、「地下室」とか「井戸」とかの類だ。
僕たちの心の中には、多かれ少なかれ、非日常の世界に迷い込むことでしか見つけられない部分がある。

「レズ風俗~」のウェブ版では「非日常」、即ちレズ風俗による心境変化についての描写が比較的多くの割合を占めている。

「日常」にあたる著者の半生が、わりとあっさり書かれていて、
それゆえに、ある種の諦めと寂寥感を持ってレズ風俗を利用したような印象を受ける。

また、ウェブ版では最後の最後まで、作者の冒険が良いものか悪いものなのか分からない。
不確かで寂しい道のりを、トボトボと歩くように描かれているからこそ、「地獄めぐり」のように僕は感じたんだと思う。

作者の地獄めぐりにくっついていくことで、僕たちは共に悩むことができる。
それがウェブ版の魅力で、これほど注目された理由だと思う。

 

一方、書籍版ではその不安感がずいぶん軽減されている。

「救われる、きっかけを掴む話」だと最初からわかった上で、読み進められるようになっている。
なぜならば「レズ風俗」にいくお話というより、「心のひらきかた」にフォーカスがあてられているから。

救われるといっても、書籍版で追加されたエピソードでは決して明るいものではない。

自分で自分を追い込む、生々しい「生きづらさ」だ。

冒頭から黒を黒で塗りつぶすような重々しい過去の話が始まる。
そこにはweb版よりも遥かに生々しい「地獄めぐり」が描かれていて、「自分を追い詰める存在」や「生きづらさ」といったものが、どんよりと読んでいる側に伝わってくる。

 

それでも、その重い過去から救いにつながるキーワードが僕たち読み手には初めから与えられている。

それが「心をひらくって、どうするんだっけ…」という帯の言葉だ。

この言葉が道しるべになり、それに沿って物語が再編されているとわかっているからこそ、僕らはどうにか最後まで読みすすめることができる。
「心をひらく話なんだ」
そう思って、作者の心情吐露を受け止めることができる。


この点が書籍版の魅力だ。
ただ、あえて悪い言い方をすれば「作り物」っぽくなっていると言えるかもしれない。リアルなお化け屋敷のように。

しかし、このボリュームの作品がしっかりと方針付けて編集されていなかったとしたら、少なくとも僕は耐えられる自信がない。


ちなみに、冒頭の「生きづらさ」を描いたダイジェストはこちらから読むことができる↓

さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ | Matogrosso

以上、

他人事とは思えない「生きづらさ」のことや、自分自身についてを考えてしまい、読了後もまだもやもやとしている。

その答えを得るために、作者のように自分を見つめ続ける勇気や、気力を持たなくちゃいけない。

僕にとっての地獄はどこにあるんだろう。風俗では無いことは、ぼんやりと分かっているつもりなんだけど・・・

ほんの少しでも興味を持っていただけたら、ぜひ上のリンクからpixivにとんでみてほしい。

僕の語る言葉が比べるに値しないくらい、あなたの心を掴むものがあるはずです。

 

そういえば、この作者さんにとっての「漫画」という表現はどういう風に人生に関わってきたものなのだろう。

エッセイの次回作があるとしたら、そのあたりを読んでみたい。

12/9追記

永田カビさんの二作目『一人交換日記』が12/10発売とのこと!

 

一人交換日記 (ビッグコミックススペシャル)

一人交換日記 (ビッグコミックススペシャル)

こちらももともとWEB連載されていた作品。
『さびしすぎてレズ風俗行きましたレポ』の出版前後から始まる永田さんの新しい生活と、周囲の反応、葛藤などが描かれてる。
連載の時点で毎回ドキドキしながら読んでいた。書いそびれないようにこちらはしっかりと予約した。読むのが楽しみです。