そりゃまあ僕も

20代会社員、男。音楽、カメラ、時事ネタなどの雑記日記です

とてもつらい

音楽と小説とカメラが好きな人の日記です。主なカテゴリ↓

『ロング・グッドバイ』さよならを言わせずもう一度読み直したい

 

ロング・グッドバイ フィリップ・マーロウ (ハヤカワ・ミステリ文庫)

ロング・グッドバイ フィリップ・マーロウ (ハヤカワ・ミステリ文庫)

 

 

村上春樹の翻訳版、レイモンドチャンドラー原作のロング・グッドバイを読了した。

重厚なミステリー且つ、ハードボイルドな人間関係が濃密に描かれた作品で、読んでるだけで二日酔いになりそうなくらいアルコール度数が高い作品だった。

クールに始まって、クールに終わる。随所のエピソードも人間描写も、台詞回しもなにもかもかっこいい。

 

『ライ麦畑でつかまえて』の翻訳が気に入らなかったというただそれだけの理由で、僕は村上春樹の翻訳が苦手なんだけど、この小説の翻訳はとてもよかった。と思う。

なにしろ、グレートギャツビーと同じくらい彼が絶賛している小説であるし、彼がチャンドラーのフォロワーであることを熱烈にアピールする翻訳だった。

小説の盛り上がりにあわせて、文章も熱がどんどんと高まっていって、クールに終わるストーリーと翻訳者と僕たちの昂ぶりがアンバランスになるくらい。

 

その興奮を鎮める村上春樹によるあとがきがまたいい。

『若い人たちのための短編小説案内』という、村上春樹による小説読解本がある。

このあとがきもそれに近いものがあって、村上春樹とチャンドラーの馴れ初めから、どのような枠組みを採用して読んだのか、手の内が全て晒されている。

文体はあくまでクールなのに、語っている内容はオタクそのもので、暑苦しい。ほとんど論文である。

ちなみに『雑文集』というエッセイ集の中にはこのあとがきの短縮版が収められている。

「このあとがき(小説版のこと)はずいぶん長いものなので、それを読むのは面倒だという方はこちら(短縮版)を読んで下さい。チャンドラーについては書きたいことがいっぱいあって、ついつい文章が長くなってしまう。」

まったく、小説版のあとがきはいささか長すぎる。

ともあれ、読後の気持ちをクールに冷ましてくれて、それでいて次の読書が楽しみになってしまうような、とてもいいあとがきである。

村上春樹訳のチャンドラーがどんどんkindle化されればいいと思う。

 

ここまで、いっさい小説の中身に触れなかったのは、もちろんネタバレを回避するためである。

とっても面白いので、面白かったという感想意外は書きたくない。それくらい面白いので、よかったらぜひ。

 

 

村上春樹 雑文集 (新潮文庫)

村上春樹 雑文集 (新潮文庫)